契約不適合責任って耳にするけど何だろうと感じたことないですか?
瑕疵担保責任と何が違うのか?という人も多いと思います。
実は契約不適合責任と瑕疵担保責任には売主の責任の違いがあるんです。
この違いが分かれば契約時のチェックポインが分かるのですがこれを知らずに損をしている 人も多いです。
そこで今回は「契約不適合責任」ついて解説していきます。
今回この記事を読むことで契約不適合責任と瑕疵担保責任の違いと契約時のチェックポイントについてわかります。
◇購入者は契約時には物件の状況を確認すべき
具体的にどんなことを確認すべきか疑問がわいてきますね!
それでは、今回の契約不適合責任と瑕疵担保責任とチェックポインについて解説いていきます。
1.瑕疵担保責任とは
今までの瑕疵担保責任とはどんな内容だったのか簡単にまとめます。
そもそも瑕疵とは契約時にはわからない事を言います。
例えば、中古物件であれば雨漏りや配管の劣化、シロアリなどです。
これらは、契約前の内覧の際に分かることはありません。
そこで、瑕疵担保責任とはこれらの事実を知った日から1年以内に契約解除又は損害賠償請求ができるという事です。
ただ、実際の不動産契約でこの2つの選択肢を普通に取れるかというとそうではありません。
理由としては売主が個人の場合、このままの内容だと、かなり責任が重く感じる売主が多いという事です。
そこで、一般的な不動産会社の作成する契約書には、特約で引渡しから3ヶ月以内と期限が短縮されます。
また、内容も引渡し済ということから、契約解除や損害賠償請求ではなくその事由に対しての修復することのみと対処方法も限定することが多いです。
2.契約不適合責任とは
契約不適合責任は2020年4月から瑕疵担保責任が契約不適合責任に変わったことで、売主の責任が一層重くなりました。
瑕疵担保責任で対象となるのは契約時にはわからなかったいわゆる「隠れた瑕疵」のみでした。
それが、契約不適合責任では契約内容に適合していない状態のものも全て対象になります。
つまり、欠陥が隠れていたかどうかは関係なく、「契約書通りの物件かどうか」が焦点になります。
これによって買主は中古住宅を購入しやすくなったと言われています。
◇契約不適合責任で買主が請求できる権利
【解除】
契約内容に合致する不動産でない場合、買主はその契約を解除することができます。
【損害賠償請求】
瑕疵担保責任の場合の請求範囲は「信頼利益」まででしたが、改正後は「履行利益」までも含まれることになります。
・信頼利益…その契約が有効であると信じたために発生した損害
・履行利益…契約が成立していれば得られたと考えられる利益
【追完請求】
契約内容に合致しない不具合があった場合にその不具合を修復してもらうこと
ただし、その不具合が契約書に記載のある場合は修復の請求はできない
【代金減額請求】
契約内容に合致しない不具合があっても修復できない場合に代金を減額してもらう
3.瑕疵担保責任と契約不適合責任の違い
今回の契約不適合責任では、圧倒的に買主の恩恵が増えました。
改正の理由は、瑕疵担保責任を問うためには、「隠れた瑕疵」だったことを証明する必要がありました。
その欠陥を知らなかったと証明することは難しく、実際には運用しづらいことが問題とされていたのです。
ただ、契約不適合責任であれば契約内容と一致しているかどうかだけがポイントとなります。
つまり、契約書にないものについては、売主は責任を負わなくてはならないと非常にシンプルな内容となります。
ただし、不具合等が契約書に記載の場合は、その不具合について契約不適合を問えないので契約内容をしっかりと把握することが大切です。
4.実際の売買について
今回の契約不適合責任の運用により、売主に対しての責任の負担が増して、エンドユーザ間の中古物件の売買に影響がでることも懸念されます。
そこで、実際の取引の内容に触れてみますが、特約で、瑕疵担保責任の時同様で契約不適合責任も一部や全部を免責することは可能なのです。
例えば、一般社団法人不動産流通経営協会が、マンション売買で使用している売買契約書にFRKという雛形があります。
大手仲介会社を含め多くの不動産会社が使用しています。
ここには、契約不適合の対象が「給排水管の故障」と「シロアリの害」しかありません。
また、民法では、期間について契約不適合責任の時効は10年とされています。
ただし、10年間責任を負うのは売主にとってはかなり負担が多いので、FRKでは引渡完了日から3カ月以内に限定されています。
これらのことから、実際の中古物件の取引の現場では、運用がしやすいように免責の特約が設けられているのがほとんどです。
つまり、瑕疵担保責任もそうですが、契約不適合責任も任意規定なので、結局のところ実際の契約書の内容がどうなっているかが重要になります。
購入側の対策として、実際の物件の現状が契約書にどう表記されているかと、免責特約をしっかりと確認することが大切です。
5.まとめ
今回は、瑕疵担保責任と契約不適合責任について解説してきました。
買主の保護内容が格段に増したものの契約不適合が本来示すものと、実際の取引現場での売買契約の規定ではかなり乖離があるのが現状です。
もちろん、あまりに厳しくすると売主が不便となり中古市場の活性化に悪影響もあります。
ただ、本来のトラブル防止の役割を果たす効果が、瑕疵担保責任よりも増さなければ意味がありません。
中古物件の購入の際には、契約書の現時点での状況の確認と免責特約の内容の確認を行ってください。
もし、内容に納得できず不安が残る場合は、きちんと伝えて内容の修正依頼もケースバイケースで可能です。
契約時にはしっかりと意思表示をしてください。